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このブログでは、劇場公開時に観た映画、DVD、オンデマンド動画などの映像作品を中心に、音楽の新譜/旧譜、スポーツなどエンターテインメント全般について、複数ライターが極私的な見解を書いています。
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すいかエンタ!について。

記事にはネタバレを含むものもありますので、未見の作品や各スポーツなどについて、先に結果などを知りたくない方はご注意ください。

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希望の国

希望の国

園子温監督による原発事故を扱った作品。

園子温は『ヒミズ』で東日本大震災をリアルタイムに取り上げた。大震災の映像を挿入したことについては賛否両論あり、否定派による強烈な園子温叩きもあった。

だが、被災地を故郷に持つ身としては、どんな形でもいいからとにかく”被災地以外の人々”にメーッセージを送ってくれ!という気持ちに応えてくれた『ヒミズ』は、全面的に肯定できる作品だった。映画の出来もラストシーンの改変を含めて今でもすこぶる良いと思っている。

『希望の国』は解釈が難しい。「日本に住んでいて、今、原発事故を描かないアーティストなんて存在意義あるか?」という園子温の強烈な思いは理解できるし、その通りだと思う。どう描くかより何を描くかだ、と言われればそうも思う。

でも、正直なところ映画としては期待したほどのものではなかった。まあ勝手に期待値を激しく高めていたのではあるが。

各登場人物は明確に分類されていて、それぞれがある特定の人々の集合意識のメタファーになっているのは分かる。しかし福島そのものではなく、「福島原発事故から何年か経っている長島県という架空の場所」という設定のため、切迫感や現実感が薄まってしまった。

なぜ今の福島を徹底取材しながら、ありのままの福島を描かなかったのか?ドキュメンタリーではダメだったのか?

園子温は映画監督であり、その作品は常に彼のメッセージに溢れている。本作を読み取れば、園子温が自分に課した役割とは、起こったことの詳細を記録し公開し警鐘を鳴らし続けることではなく、未曾有の大災害に遭遇した人々が、何を救いとして(拠り所として)自らの人生や生活を再生するのか?ということに焦点を当てることなのだろう。

そう考えれば本作は『愛のむきだし』などに連なる見事な園子温作品であり、人間の本質をえぐろうとする意図に満ちた非常にグロテスクな作品だという評価もできる。なぜドキュメンタリーではダメだったのか、それは福島に実在する人々にその役を背負わせるのはあまりに過酷だからだ。

しかしラストシーンの「愛があれば大丈夫♪」はすごい。全体のトーンを破壊してぐちゃぐちゃにして、それでいてしっかりと作品性を際立たせる見事な演出だと思う。

死を選んだ両親と、どこにも逃げ場のない息子夫婦は、結局「愛がすべて、愛があれば大丈夫!」という点で一致している。死とは選択しようと逃げようと必ず訪れるもの、と定義されているようで残酷だと思う反面、死ぬまでどう生きるかということが死の価値を決定するということでもある。

神楽坂恵演じる小野いずみが宿した命を狂信的に守ろうとすることで示したのは「死の価値とはその思想や行動が後世にどう引き継がれていくかということ」というメッセージであり、それはまさしく後世の人間たちが希望の国を作っていくということに他ならない。

<Raiting>
役者の能力を限界まで引き上げる園子温の演出力は健在で、俳優陣はすばらしい仕事をしている。しかし映画作品としては期待はずれというのが正直な感想。


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
希望の国@ぴあ映画生活

評価:
---
Happinet(SB)(D)
¥ 3,503
(2011-08-02)


アウトレイジ ビヨンド

アウトレイジ ビヨンド

アウトレイジの続編!深夜のバルト9は輩(やから)ばかりで超満員。本作もそうとう面白い!

前作はすべてのシークエンスがアイデアに満ちていて、異常にボルテージの高い作品だった。椎名桔平のとてつもなく研ぎ澄まされた演技と個性的な役者を揃えて、ヒリヒリする北野ノワールを見せてくれた。

今回はストーリーに軸を置き、ヤクザ社会の裏切りと騙し合いにひとつの落とし前をつけた。俳優陣は西田敏行を始め大物がゾロゾロ。前作とは違った重厚さが加わり、また別の味わいのアウトレイジワールドが展開される。

派手なカーチェイスや爆破シーンやエロはほとんどなかったが、物語をここで完結させるためのさまざまな仕掛けが見事にはまり、あっという間に見終わってしまった。各陣営の複雑な動きやバイオレンスシーンをもっと観たかった。どうせ本作で打ち止めならこの内容で前後編2作にしてほしかった気もする。

衝撃的なラストシーンは座席でビクッと体が浮いた。そもそも大友は出所後に韓国フィクサーを頼ったのをみても、山王会に復讐する気があったわけではない。片岡や木村に引きずられるように暴力の世界に舞い戻り、ある課せられた役割をまっとうしただけだ。ラストシーンも大友が計画的に片岡を始末したのではなく衝動的に引き金を引いた。木村の葬儀で大友に花菱会と山王会を始末させようと誘導する片岡に対し、調子に乗んじゃねーぞコノヤロー!(映像では無言だが)と突発的な怒りを発する。
計画的ではなかったが一度動き出せば誰よりも仕組みが見えていた大友。その凄みをたけしは哀愁を漂わせながら見事に演じた。北野武の演技は常に賛否両論あるが、個人的にアウトレイジ2作のたけしは素晴らしい演技をしていると思う。

脂ぎった巨軀を揺らしながらドスの利いた演技をみせる60歳以上の俳優も全員カッコよかった。オヤジだからこそかっこいいという世界が確実にある。

すべての俳優が極めて気の入った演技を見せ、カット割りや映像もスタイリッシュで、鈴木慶一の音楽も素晴らしかった。

<Raiting>
心配なのは片岡の死体を目にしていないこと。「いや〜ほんとに撃たれたと思いましたよ〜、先輩も冗談きつい」なんつって続編作らないでほしいw 映画館で観る価値あり!


<Trailer>


テーマ:映画館で観た映画
アウトレイジ ビヨンド@ぴあ映画生活

桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

同じ時間を視点を変えて繰り返しなぞる複数視点の映画は数あるが、その手法の面白さに頼らない緻密な構成が映画全体に行き渡っていて、類型的でありながら恐ろしいほどリアルな描写の積み重ねにより奇跡の一本に仕上がった。

学内ヒエラルキーのトップにある桐島が突然消えたという事象を、登場人物のそれぞれの立ち位置から繰り返し眺めることで、『自分はいったいどういう人間なのか?』という漠然とした自我を揺さぶりながら物語を推進していく吉田大八監督の手腕は冴えに冴えている。

どの登場人物に感情移入するかということで作品の楽しみ方も鑑賞者の数だけ多様にあるわけだが、観客が作品に没頭するのを全く妨げない若い役者たちの卓越したリアルな演技が凄い。神木隆之介や橋本愛、東出昌大はもちろん、元おはガールの松岡茉優、野球部のキャプテンまで、役と一体化した素晴らしい演技を見せてくれる。

しかし中・高校生活って考えてみれば残酷だ。まだ人格形成も不十分で頼るべき力強い自我もあやふやな時期に、大人でも耐えられないような不躾な対人関係に放り込まれ、出来る出来ないという明確な差にむりやり直面させられ、死ぬほど傷つきながら毎日毎日暮らすのだ。その点、大人は自分の環境を選択できるだけでも彼らよりずっと楽だ。

吉田監督は瑞々しい出演陣とともに、桐島という軸を失って右往左往し恐怖にも近い自我の崩壊にさらされる面々と、やりたいことに没頭し桐島の存在など一顧だにしない前田の厳然とした対比を、クライマックスで見事なカタルシスに昇華した。

そして野球部のキャプテンと大後寿々花演じる吹奏楽部キャプテンの清廉ともいえる自分自身に対する決着の付け方が、ラストシーンの宏樹の心の揺れをさらに大きな感動へと導いた。

<Raiting>
本作や苦役列車のような良作が興行成績で苦戦するのを見るのはつらい。本作はマジで掛け値なしの大傑作!こんな邦画にはなかなか出会えない!

プロメテウス(Prometheus)

プロメテウス

『エイリアン』の前日譚、”エイリアンビギニング”的な位置づけとなる本作。公開前からなにかと批判的なコメントが多く、どんだけ駄作なんだと思っていたが、結局旧作ファンというかコアなエイリアンヲタがネガキャンしてただけか…という感じ。

リドリー・スコット監督の映像は相変わらず素晴らしい。最近は優れたCG技術の作品がやつきばやに公開されているが、SF叙情詩のような映像美はリドリー・スコットの唯一無二な魅力だ。

デヴィッドを演じたマイケル・ファスベンダーの静謐で知的な雰囲気が醸し出す存在感、シャーリーズ・セロンのアンドロイドなのか人間なのか分からない鉄面皮っぷりなど、全体的に俳優陣の演技は落ち着いていて説得力があった。

ただノオミ・ラパスはちょっと期待ハズレ。容姿の特徴が『ドラゴン・タトゥーの女』とは逆に作用して、最重要人物エリザベス・ショウが感情移入しずらい人物像となってしまった。

さて内容だが、冒頭に述べたように『エイリアン』の古参ヲタの声が大きくて大失敗作のような印象操作がされつつあるが、圧倒的な映像美と美術セットは素晴らしく、箱庭的シチュエーションでのリドリー・スコットの職人的演出も冴えていた。

人類の起源はしょっぱなで種明かしされるし、エイリアン誕生の謎もラストで明快に描かれる。ストーリーに大きな破綻はない。その各エピソードが軽い、感動が薄い、スケールダウンしてしまった、という意見には同意だが、何もこれが『エイリアン1』と直結するわけでもないし、すでに続編がアナウンスされているわけだから、期待して次を待てばいいだけ。

派手な部分は少ないが、映像と雰囲気を楽しむ上質なSF映画として、なかなか面白い作品だ。莫大な制作費と見合っているかは難しいところだが…。

<Raiting>
リドリー・スコットらしい映像の素晴らしさは大スクリーンで観る価値あり。『エイリアン1』のありえない緊張度とは比べるべくもないが、こちらはこちらで独特の雰囲気に満ちたそこそこの良作。続編を早く観たい!
評価:
---
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)
¥ 4,211
(2012-07-18)


アベンジャーズ(Marvel's The Avengers)

アベンジャーズ

アメコミヒーロー大集合!超話題作をあえて2Dで鑑賞。

宇宙に飛ばされたマイティー・ソーの弟ロキが宇宙人種族チタウリの軍隊とともに地球を襲ってくるのだが、アイアンマン、マイティー・ソー、ハルク、キャプテン・アメリカ、ホークアイ、ブラック・ウィドウらマーベル・コミックのスーパーヒーロー達がチームを組んでやっつけるという話。

2Dを選んだのは3Dの暗い画面が苦手だからなのだが、2Dもそれほど明るくなく、彩度もコントラストも弱くてちょっとガッカリ。しかし莫大な予算をかけた映像は凄いの一言。何がどうなってるのかわからないという瞬間が微塵もないカット割りも見事。引っかかるところがひとつもなく、ただただ圧倒的な映像を楽しめる144分。

史上最速世界興行収入10億ドル突破もすごいが、記録はさらに伸びていて現在15億ドルに迫る勢い。ヒーローそれぞれの性格、戦闘スタイルがよく描かれていて、マーベルファンも大満足の出来だと思う。個人的にはやはりロバート・ダウニー・Jrのアイアンマンがよかった。グウィネス・パルトローも相変わらずいい味出してたし。

<Raiting>
マーベル・コミックが好きなら必見、それ以外の人は観なくてもとりたてて不都合はない作品。面白いことは間違いないので、ぜひ映画館でゴージャスな戦闘シーンを体験してほしい。


<Trailer>


テーマ:映画館で観た映画
アベンジャーズ@ぴあ映画生活

評価:
---
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
¥ 3,170
(2011-10-21)

評価:
---
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
¥ 1,479
(2011-10-21)

評価:
---
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
¥ 1,147
(2010-05-26)


ヘルタースケルター

ヘルタースケルター

全身整形で手に入れた美貌で芸能界トップに君臨するりりこが、整形による後遺症や躍進する若手に対するプレッシャーから精神に変調をきたし、整形をスッパ抜かれた末の記者会見で自分の目玉をえぐって失踪し、地下秘密クラブの女王になりましたって話。

新宿ピカデリーはいつ行っても満席状態だったので、すごいヒットしてるんだろうなーと思ってだが、まさか前から2列目で観るハメになるとは思わなかった…。

しかし長い! 無駄なシーンを切ってテンポよく編集すれば80分くらいでいけたね、これ。とにかく127分は長すぎる。途中で飽きちゃった。

作品そのものはどうだったかというと、そもそも原作が1990年代の話だし、整形タレントなんてもの自体が一周回ってさほど奇異な目で見られることもなく市民権を得ている現代において、極めし者の精神崩壊劇なんていう語り尽くされた古臭いストーリーをなぞられても、映画作品としては評価のしようがない。

結局沢尻エリカが”どうなの?”ってことにしか興味がいかないわけで、それは本人にとっても作品にとっても悲劇だな〜と、つくづく思う。

でもこれだけ人が入ってるんだから蜷川実花のミッションは成功だ。消費された女優を使って消費されるもののあわれを描きながら消費物の最たる作品として見事にヒット作に仕上げてしまった。映画監督というよりは優秀な博打打ちだな。沢尻だって蜷川実花だからこそ引っ張り出せたんだから、素直にすごいと思う。

再起をかけた沢尻エリカは話題のヌードこそ全然大したことなかったが、若手女優の誰もが断るであろう汚れ役を必死に演じていた。自身の落ちぶれ感をさらに認識させるような役柄をよく引き受けたと思う。この先は普通の女優業に戻らずに怪演女優として突き進んでほしい。

残念だったのは全身整形のモンスターにしては、それほどクオリティが高くなかったこと。ナチュラルでもっと美形でスタイルのいいタレントがいくらでも溢れてる現在、沢尻の存在感だけでストーリーにリアリティを持たせるのはかなり厳しかった。

本作でもっとも光っていたのは水原希子。作中でも現実の世界でも軽々と沢尻世代を飛び越えていく躍動感は、映画女優としても稀有な才能だ。『ノルウェイの森』よりさらに存在感を増していた。

<Raiting>
良くも悪くも沢尻エリカ一色のプロモーションビデオのような作品。脇役の演技も含めて全くリアリティーのない作品だが、話のネタに観ておくのも悪くない。結局はこれで生きるしかない!というラストは、沢尻版レスラーといったら褒めすぎか。


<Trailer>


テーマ:映画館で観た映画
ヘルタースケルター@ぴあ映画生活


ダークナイト ライジング(The Dark Knight Rises)

ダークナイト ライジング

今回は壮大にネタバレするので先に感想を述べておくと、ライジングから観てるファンは当然必見、それ以外の人は必ず『ライジング』〜『ダークナイト』をDVDでしっかり勉強してから劇場に向かうべし!

アメリカ映画の底力を見せつける本作は、完結編としてはこのうえなく素晴らしい作品となった。シリーズの伏線を見事に回収し、混沌とした正と悪の問題に一つの回答を示した。

映画史に残る大傑作『ダークナイト』の続編で、なおかつノーラン版バットマンの完結編ということで、その完成度に対する期待は高く、興行的にも世界中が待ち焦がれていた作品だけに、制作陣のプレッシャーはすごいものがあっただろうが、この難しいミッションをノーラン監督は見事にやってのけた。

ダークナイトとの比較で出来をあれこれ言う人も多いと思うが、あれを何度もやれと言われても不可能なわけで(ヒース・レジャーもいないし)、今回は今回で凄まじい撮影技術とよく練られたストーリーに素直に感動したほうが健全だ。

さてここからネタバレだが、ノーラン組のモルことマリオン・コティヤール演じるミランダが実はラーズ・アル・グールの娘だったなんて、言われるまで気づかなかった。いや、なんかスパイっぽいな、最重要人物の一人だろうな、とは思っていたが、真の黒幕だったとはね。おかげでトム・ハーディが熱演するベインの人生が一気に正当化されるとともに最期があまりにあっけないのもあって涙が出た。

それにしてもなんとも重いシリーズになったもんだ。救うべくゴッサム・シティがそもそも救うに値するのか?という問いかけもあるし、悪が悪として存在するための宿命の悲しさや正義を貫こうとすることの悲劇性もあって、観るものの心にシェークスピア的な葛藤すら刻みこむ。

そもそも法を無視して悪を裁くのは是か非か?というダークヒーローものの本質的な矛盾を突き詰めようとした『ダークナイト』の異質性を、エンターテインメントとして着地させようとする本作は、とてつもない難問を抱えながらも最終的には「平和を望む誰もがヒーローである」と宣言することでフィニッシュした。忍耐し対峙し選択し戦ったのはバットマン一人ではなくゴッサムの市民たち。そしてバットマン引退後の世界はしっかりとロビンに引き継がれたのだ。

バットマンとベイン(またはミランダ)の戦いが象徴するものは階級闘争である。富めるものがその富を最大限に利用して正義を貫く。虐げられたものは怒りに満ち、現状を破壊し新しい秩序を構築しようとする。ゴッサムがどんなに腐敗した街であっても市民が望む平穏を提供しようとするバットマンの正義は果たして本当に正しいのか。またはゴッサムごと吹き飛ばして支配層を滅ぼした暁に出来る街(新秩序)が本当に楽園なのか。

バットマンが提示しているのはアメリカの正義のあり方であり、そして重要なのはその正義にはさまざまな見方があって、もはや世界はひとつの価値観では制御できないのだ、という冷静な視点がアメリカの中にも確立しつつあるという現状だ。最後に立ち昇る”きのこ雲”を見て「あーこれで一件落着、救われたー!」なんてのん気に思った観客なんて一人もいないだろう。

あの”きのこ雲”こそ『戦いを早期に終わらせた良きもの』ではなく、際限なく繰り返される戦いの狼煙であり、不穏な空気をはらんだままバットマンの世界は続いていくのだ。

<Raiting>
渡辺謙の存在が抹殺されてるじゃねーか!というのはおいといて、今回も役者が素晴らしかった。おなじみのマイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンは文句なし。トム・ハーディーやマリオン・コティヤールも実に良かった。そしてなんといってもアン・ハサウェイのキャットウーマン!猫耳アイデアも秀逸で個人的には最高のキャスティング。ストーリーは破綻なく、映像も最高峰レベル。シリーズ全体を評価すれば娯楽作品としては満点としかいいようがない。


<Trailer>


<公式メイキング>
CGばかりだと思ってたのだが実はけっこう実写が多い、びっくりした。
http://www.traileraddict.com/trailer/the-dark-knight-rises/featurette-extended-inside-look

テーマ:映画館で観た映画
ダークナイト ライジング@ぴあ映画生活

評価:
---
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥ 1,147
(2010-04-21)

評価:
クリストファー・ノーラン,ジョナサン・ノーラン
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥ 1,487
(2012-06-27)


苦役列車

苦役列車

父親が性犯罪者で一家離散したため中卒の身で肉体労働に従事する『北町貫多』が、厄介な自我意識を抱えて不器用に生きていく様を綴った本作は、原作とは手触りがかなり違っているが、邦画としてはすこぶる出来のいい作品だ。

『友ナシ金ナシ女ナシ』 は本当に最低のクズなのか?

自堕落で不潔でねじくれている 『北町貫多』はクズの呼称に値するとはいえ、結局原作の小説『苦役列車』のとてつもない評価を考えれば、実は誰もがどこかで 『北町貫多』の生き様に良くも悪くも共感してるわけだ。

『北町貫多』を最低のクズとはいい切れない”今”という時代の良し悪しは別にして、今でなければ『苦役列車』という物語が広く受け入れられることはなかっただろう。そういう意味で本作の映画化は時代背景は古いが内容はジャストタイミングだといえる。

それにしても森山未來の突き抜けた存在感はすごい。主人公と同様な生活をしながら撮影に臨んだという情熱的な役作りの成果は、すべてのシーンからビシビシ伝わってくる。とくにラスト近くのパンツ一丁で泣きながら走るとてつもなく醜い(あくまでビジュアル的に)あのシーンをやれといって出来る若手役者はそういないだろう。

高良健吾の役作りも見事。『北町貫多』と対照的な”持てる側”の『日下部』を好演している。また『北町貫多』の連星ともいえる『高橋岩男』役のマキタスポーツの演技力には改めて舌を巻く。これほど台詞にキレのある役者は本職でも数少ない。

さて話題の前田敦子だが、そもそも出番が少ないので賛否を声高に語るほど鑑賞側に情報があるわけではない。ただ『桜井康子』という朴訥とした役柄にはフィットしていた。下着スケスケもキスシーンもすべてが淡い印象だが、これが前田敦子の持ち味になっていくのかもしれない。女優前田敦子については本稿とは別に記事にしたいと思うが、とりあえず本作においてはとても良かったと思う。

最後に、原作でも多数のブログ等で抜粋引用された『北町貫多』の台詞を記しておこう。この肥大しねじくれた自意識、根拠なき自己評価の高さが、最終的には莫大なエネルギーとなって執筆という創作行為に雪崩れ込んでいくのだから、やはりこれこそ本作の根幹である。

「出たぜ。田舎者は本当に、ムヤミと世田谷に住みたがるよな。まったく、てめえらカッペは東京に出りゃ杉並か世田谷に住もうとする習性があるようだが、それは一体なぜだい? おめえらは、あの辺が都会暮しの基本ステイタスぐれえに思ってるのか? それもおめえらが好む、芋臭せえニューアカ、サブカル志向の一つの特徴なのか? そんな考えが、てめえらが田舎者の証だってことに気がつかねえのかい? それで何か新しいことでもやってるつもりなのか? 何が、下北、だよ。だからぼくら生粋の江戸っ子は、あの辺を白眼視して絶対に住もうとは思わないんだけどね」

<Raiting>
ある時代を背景に若い主人公の精神的葛藤を描くという点では『ノルウェイの森』と構造は同じなんだけど、両者の世界観の差が現実の世の中の二極化を如実に表してるようで、なんだか切なくなる。持てる者は喪失感にもがき苦しみ、持たざる者は何かを得ようとジタバタする。個人的には圧倒的にこっちが”俺の現実”。


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
苦役列車@ぴあ映画生活

評価:
西村 賢太
新潮社
¥ 420
(2012-04-19)


アメイジング・スパイダーマン(The Amazing Spider-Man)

スパイダーマン

サム・ライミ&トビー・マクガイヤー版「スパイダーマン4」が頓挫して仕切り直しとなり、スパイダーマン誕生秘話からやり直しのリブート版として復活した本作。

主役がアンドリュー・ガーフィールドに決定してから俄然楽しみにしていたが、(500)日のサマーのマーク・ウェブ監督ならではのみずみずしい青春学園ドラマとして、すごく面白い作品に仕上がった。

ソーシャル・ネットワーク』での好演が光ったアンドリュー・ガーフィールド版ピーター・パーカーは時代に即した若者像にリファインされ、ヒロインもキルスティン・ダンストのMJからのエマ・ストーン演じるグウェン・ステーシーへとスイッチされている。

正直、本作は封切り直後ということもあり、ライミ版3部作ファンからの批判的な意見はなかなか手厳しいものがある。しかしこの先何年にもわたってリブートされ続けるかもしれない大人気アメコミヒーロー物の出来を前シリーズと比較してあれこれ細かい文句をつけても仕方ないと思う。さまざまなプロダクトによる何種類ものスパイダーマン映画が出揃った時点で、それぞれの評価が定まるだろう。

個人的な好みで言えば気弱なカメラオタクで生真面目なトビー版ピーターより、そこらにいそうなアンドリュー・ガーフィールドのほうがリアルだし、キルスティン・ダンストよりエマ・ストーンのほうがずっと好ましい。アクションシーンは技術の凄まじい進歩もあって圧倒的な出来となっている。

ただ最近の作品に共通する問題だが、どれもが数多くの新旧タイトルに埋没してしまい、DVDが出てしまえば、あとはたいした話題にものぼらず忘れられてしまうことが多すぎる。前作の第1作目の公開時の盛り上がりに比べたら今はなんとも寂しい限り。

たしかにリブート化が早すぎたのも事実。前シリーズのイメージがこれだけ鮮明だと、スパイダーマン誕生までの説明描写がかったるいだろうし、なんとなく戦闘シーンも想像がつく。制作費も大幅に縮小している。そういうネガティブな側面があったなかで、それでもマーク・ウェブは最大限にうまくやってのけたと思う。

詳細な説明や余韻までもバッサリ切ってテキパキとテンポよく設定と人物描写を済ませ、続編につながる伏線をたっぷり残しながら、見事にリブートの導入部を着地させた。これを内容が浅くてお手軽でひとつの作品として完成していないと取るか、このキャストで続きが見られることを楽しみと取るか、まさしく好みの問題だ。

スケボーを自在に乗りこなし女の子ともまあまあ普通に話せていじめっこショーンにも最初から意見するピーターの描き方からすると、続編以降とてつもない悲劇が待ち受けてるのは想像に難くないが、とりあえずバットマンもビギニングの凡作評価を乗り越えて『ダークナイト』が生まれたわけだから、『アメイジング・スパイダーマン』も大きな期待を持って次回作を待ちたいと思う。

<Raiting>
細かい設定は違っても大筋は旧作とほぼ同じ。CGアクションは圧倒的なのでぜひIMAXで3D鑑賞がおすすめ。この手のハリウッド映画はやっぱり面白い! 個人的には大満足。


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
アメイジング・スパイダーマン@ぴあ映画生活


スノーホワイト(Snow White & the Huntsman)

スノーホワイト

予告編も良かったが、フルで観てもなかなか良くできている作品だった。ロケ地であるアイルランドの風景も素晴らしかったし、映像のレベルも非常に高かった。

しかし、すべてが既視感バリバリで、あらゆるシークエンスが「なんか見たことあるな…」の連続。ファンタージ物も出尽くして、さらにVFX技術が頭打ちになっている現状、こういうことも仕方ないのかもしれないが、各要素のレベルが高いにもかかわらず作品全体から受ける印象は新鮮味が全く感じられないものとなってしまった。

ただし、そのパクリ的映像のセレクトが個人的にはツボで、「指輪?」「もののけ?」「MadonnaのFrozen?」「300?」「まさかラスト・ブラッドじゃないよね…?」などなど、飽きずに楽しめた。

物語は「白雪姫+ジャンヌ・ダルク+指輪物語」といった感じで、甲冑で武装した白雪姫が手下を従えて王座を奪還するというもの。分かりやすすぎて深みも感動もほとんどないのだが、退屈かというとそういうわけでもなく、ダントツに綺麗すぎて老醜にかきむしられる心情が伝わりにくかったシャーリーズ・セロン、もはや『マイティ・ソー』にしか見えないクリス・ヘムズワース、マジで藤木直人かと思ったサム・クラフリンなど、個性的なキャスティングが楽しめる。

本作のクリステン・スチュワートは、どうしたことか美貌が劣化してしまったかのようで、こちらの期待を大きく下回ってしまった。白雪姫のビジュアルが圧倒的だという前提が『白雪姫』という物語の根幹なだけに、非常に残念。

Mirror, mirror on the wall, Who's the fairest of them all? 
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」なわけだから。

<Raiting>
白雪姫の解釈と実写版としてのレベルはいい線いってると思うが、たぶん「観たことすらすぐに忘れてしまうんだろうな的作品」でもある。DVDで十分かも。

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