プロメテウス(Prometheus)
『エイリアン』の前日譚、”エイリアンビギニング”的な位置づけとなる本作。公開前からなにかと批判的なコメントが多く、どんだけ駄作なんだと思っていたが、結局旧作ファンというかコアなエイリアンヲタがネガキャンしてただけか…という感じ。
リドリー・スコット監督の映像は相変わらず素晴らしい。最近は優れたCG技術の作品がやつきばやに公開されているが、SF叙情詩のような映像美はリドリー・スコットの唯一無二な魅力だ。
デヴィッドを演じたマイケル・ファスベンダーの静謐で知的な雰囲気が醸し出す存在感、シャーリーズ・セロンのアンドロイドなのか人間なのか分からない鉄面皮っぷりなど、全体的に俳優陣の演技は落ち着いていて説得力があった。
ただノオミ・ラパスはちょっと期待ハズレ。容姿の特徴が『ドラゴン・タトゥーの女』とは逆に作用して、最重要人物エリザベス・ショウが感情移入しずらい人物像となってしまった。
さて内容だが、冒頭に述べたように『エイリアン』の古参ヲタの声が大きくて大失敗作のような印象操作がされつつあるが、圧倒的な映像美と美術セットは素晴らしく、箱庭的シチュエーションでのリドリー・スコットの職人的演出も冴えていた。
人類の起源はしょっぱなで種明かしされるし、エイリアン誕生の謎もラストで明快に描かれる。ストーリーに大きな破綻はない。その各エピソードが軽い、感動が薄い、スケールダウンしてしまった、という意見には同意だが、何もこれが『エイリアン1』と直結するわけでもないし、すでに続編がアナウンスされているわけだから、期待して次を待てばいいだけ。
派手な部分は少ないが、映像と雰囲気を楽しむ上質なSF映画として、なかなか面白い作品だ。莫大な制作費と見合っているかは難しいところだが…。
<Raiting>
リドリー・スコットらしい映像の素晴らしさは大スクリーンで観る価値あり。『エイリアン1』のありえない緊張度とは比べるべくもないが、こちらはこちらで独特の雰囲気に満ちたそこそこの良作。続編を早く観たい!
評価:
--- 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP) ¥ 4,211 (2012-07-18) |
- 2012.08.20 Monday
- 映画
- 22:30
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