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ヒミズ

 

古谷実の原作漫画 『ヒミズ』 は評価が非常に高く、強烈な原作ファンも付いている作品だ。それだけに実写化については公開前からさまざまな意見があり、観る前から批判を繰り返す原作厨(原作原理主義者)の勢いも乗りに乗ってるわけだが、映画単品として『ヒミズ』を鑑賞すれば、文句なく素晴らしい出来上がりになっている。

まず主演二人が素晴らしい。共に親からのDVを受け続けてる崩壊家庭で暮らす住田祐一と茶沢景子を演じる染谷将太と二階堂ふみは、近頃の若手役者の中でも群を抜いた強烈な個性をを見せる。染谷将太の表情や台詞の言い回しはリアルで凄みがあり、住田の独特なテンションを最後まで持続させた力量はすごい。宮崎あおい二世と呼び声も高い二階堂ふみは容姿もさることながら、もはや本家超えかというほど強烈な存在感を見せつけた。第68回ヴェネツィア国際映画祭で『マルチェロ・マストロヤンニ賞』を受賞したのも納得だ。

園監督の作品が好きな理由は”役者が本気になって演じる”姿が見られるから。良かれ悪しかれオーバーな表現になりがちではあるけど、常人よりはるかに高いレベルで”演じる”という特殊能力を遺憾なく発揮する役者を観るのはとても楽しい。

また、最初から明らかに異常な設定なのに話が展開するに連れてその異常っぷりに確たる説得力が宿り、あたかも普遍の真理を頭にねじ込まれているような気がしてくるのは園監督の真骨頂だが、本作でもそのぶっ飛び感は健在。この作風が大きく好き嫌いの別れるところなのだろうが、それこそ「嫌ならみなきゃいい」。

映画の内容は登場人物を含め原作から大幅に変えられているが、原作ファンがもっとも許しがたいポイントはラストシーンだろう。超有名な漫画だし読んでる人も多いだろうから盛大にネタバレしてしまうが、最後に住田が自殺して終わる原作と、最後に自殺を回避し茶沢さんと二人で「住田がんばれー」と自らにエールを送りながら土手を走る映画のラストは、たしかに一見すれば正反対に感じるだろう。

しかしよく考えれば「がんばれー」程度ではどうしようもない悲惨な現実が目の前に横たわっているし、茶沢さんが直面してる問題はさらに明日をも知れぬほど悲惨な状態にあるわけだ。それでも若い二人がエールを掛けあって泣きながら走る姿は自殺して終わらせるより、よほどむごいかもしれない。

また、本作は2011年に起こった『東日本大震災と大津波』後の世界に設定を変えてある。だからこそ”どんな状況下でも前向きに頑張って現状を変えていこう”というメッセージは必要不可欠だった。その設定自体が陳腐だという批判もあるが、園監督自身の言葉を借りれば「震災を無視して作り続けることは不可能」だったとのこと。これはものを作る人間として正直な心情だと思う。

そこを踏まえて最後のメッセージを考えると、そう単純に原作と正反対のラストとはいえないのではないかと思う。『がんばれ』はストレートな激励でもあるし、ぶしつけでむなしい飾り文句でもあるし、そうでもいわなきゃやってられない自分への叱咤激励でもある。どっちにしろ『がんばれ』と叫ぶしかない、ということなのかもしれない。

しつこい暴力描写、音量のセッティング間違ってんじゃねーか的怒鳴り声の連続、園映画の常連役者勢ぞろいの猛烈な暑苦しさなど、合わない人にはとことん合わないと思うが、それでも今の邦画界でこれだけ劇場に足を運ぶ価値のある作品もなかなかない。

<Raiting>
映画らしい映画はDVDじゃなくて劇場で観たい。相変わらずエグいが、『冷たい熱帯魚』よりは抑えた表現になっているので誰でも楽しめると思う。個人的には満点!
    

<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
ヒミズ@ぴあ映画生活

評価:
---
アミューズソフトエンタテインメント
¥ 4,118
(2009-07-24)


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