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このブログでは、劇場公開時に観た映画、DVD、オンデマンド動画などの映像作品を中心に、音楽の新譜/旧譜、スポーツなどエンターテインメント全般について、複数ライターが極私的な見解を書いています。
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八日目の蝉

八月の蝉

最近の日本映画は活力を取り戻してきたようで、素晴らしい作品が多くなってきた。本作もその一本。原作小説も有名だし、NHKで連続ドラマ化されてることもあって認知度も高く、配役も話題を呼んだ。

内容はよく考えればへんてこな物語なのだ。母性の物語なんていわれてるけど、実際そんなほっこりした話じゃない。このそうとうに変な話を「鑑賞者全員を泣かせるような感動話」に昇華できたのは、ひとえに永作博美のルックスと演技からにじみ出るいい人オーラのおかげ。

もし醜悪なルックスの女優がファナティックに主人公を演じたなら、リアリティは出ただろうが誰の共感も呼ばない映画になっていたはずだ。シャーリーズ・セロンの「モンスター」に共感できた人でも無理だろうなー。そもそも妻子持ちの男と不倫してるんだから、百歩譲って男が最悪だとしても責任はほぼ同じくらい両者にあるわけで。本妻に罵倒されるのも関係がバレれば当たり前のことだし。

冒頭の被告人陳述でも明らかなように、永作博美演じる誘拐犯「野々宮希和子」は明らかに最初から最後まで狂ってる。狂った原因が堕胎による不妊であったとしても、誘拐自体にはなんの意味もない。反射的に犯罪を起こしただけで、なにか目的があったわけでもないのだ。しかし彼女はその状況に自分を馴染ませ、誘拐した子供とともに生きて行くことを人生の目的と定める。

野々宮希和子のようなタイプは、自分が設定した嘘を忠実になぞることができる。誘拐した子供を心から愛しているという”設定”も、だ。そのうえその嘘を現実として生きて行くことができるのだ。だから彼女のことをよく知らない人はコロっとだまされる。自分自身さえもだませるんだから当然だ。

このタイプの人間の底知れない恐ろしさ(というか気味悪さ)は、身近にこういう人間がいないとうまく理解出来ないかもしれない。身内にこういう人がいた自分は、映画を見てる間ずっと気持ち悪かった。

しかし鑑賞者がみんなこの最悪な犯罪者のシンパになっていくわけだから、永作博美の力は偉大だ。狂人(もしくはサイコパス的な人物)をこれだけ可愛く演じられるのは、ルックスも含めて凄まじい力量だ。

結局、子供を取り巻く大人達は自分の気持を満たすことにだけに腐心している。子どもが自分を受け入れてくれないという悲しみで狂ってしまった実母、妻とも実子とも関係を構築できずに自分を苛むだけの実父、そして自分のぶっ壊れている心を子供の存在でメンテナンスしてるだけの野々宮希和子。つくづく悲惨な話だと思う。

ところがこの身も蓋もないほど狂っている状況がベースにあるおかげで、井上真央や小池栄子がいきいきと輝き出す。彼女たちが自分の過去をさかのぼって検証することで、改めて生きる意味を見つけ出すくだりは素晴らしい。映画らしいダイナミズムもあり美しい風景も見事で、出色の日本映画となっている。

<Raiting>
脇に良い役者を配しているが、最高だったのは小池栄子。役柄が完全に憑依している。凄い! アイドル女優からの脱皮をはかる井上真央も体当たりの演技でなかなか良かった。しかしあまりにも不自然な“うつぶせシーン”と劇団ひとりのオーバーな演技、“蝉の話”を歌のサビのように多用する演出の悪さをさっ引いて、作品としては満点ならず。


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
八日目の蝉@ぴあ映画生活

評価:
---
NHKエンタープライズ
¥ 9,726
(2010-09-24)

評価:
角田 光代
中央公論新社
¥ 620
(2011-01-22)


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