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闇の列車、光の旅(Sin nombre)

Sin-Nombre.jpg

ガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナ製作、日系アメリカ人であるキャリー・ジョージ・フクナガが初長編監督に挑戦した本作。『シティ・オブ・ゴッド』(記事参照)にも通じる中南米の現実の中で、純粋な心の触れ合いを描いた傑作ロードムービーだ。

移民の話である。

ホンジュラスで暮らす少女サイラは、父と叔父の願いを聞き入れアメリカへの越境を目指す旅にでる。グアテマラを経由し徒歩でメキシコのチアパスにたどり着いたサイラたちはアメリカ行きの列車に乗り込む。しかし乗るといっても彼らの居場所は列車の屋根の上。雨が降ろうが寒かろうが列車の“外側”にへばりついて果てしなく長い旅路を過ごすのだ。

そのチアパスで『マラ・サルヴァトゥルチャ』というギャング団の一員として暮らすカスペル。カスペルと弟分のスマイリーは組織のリーダーであるリルマゴに連れられ、サイラたちが乗る列車を襲撃にいく。

カスペルたちは屋根の上の移民たちを銃で脅し金品を巻きあげていくが、騒ぐサイラに暴力を振るうリルマゴをカスペルは殺してしまう。実はカスペルにはリルマゴを殺す明確な理由があったのだが、結果的にカスペルはサイラを救った形となった。

組織に追われる身となり、生きる希望を失って無為の日々を過ごすカスペルと、そんなカスペルに徐々に引かれていくサイラは、2人で一緒にアメリカを目指すことになる。

メキシコ人のアメリカへの越境は報道などでよく知られているが、実際にはホンジュラスやグアテマラ、ニカラグアなどからメキシコを経由してアメリカへ向かう移民が大勢いるという。彼らは怪我、病気、国境警備員、警察、そしてギャングの襲撃など、非常な危険を冒してアメリカに向かうのだ。

多くの移民は途中で力尽きアメリカまで辿りつけないというが、列車での移動中に通過地域の子供たちに石を投げつけられる様子は、移民が差別の対象として蔑まれていることを描いた衝撃的なシーンだ。

キャリー監督は「移民がどうあるべきか、という理想、そしてこの事実を、政治や政策に関係なく伝える必要がある」と考え本作を撮ったという。そして実際に移民と共に寝泊まりしながら旅をし、プロットを練った。

そんななかで監督は、越境に失敗してもあっけらかんと前を向く移民たちの精神に深く魅了される。移民たちは「悪いことであろうが良いことであろうがそれはただ、ある日の出来事で、すべて、そして誰もが神の手の中にある」と語るのだという。

彼らは「雨が降ればそれを集めて飲み水にする」と言います。強盗に襲われたとき彼らは「列車から飛び降りて逃げて強盗がいなくなったらまた列車に戻ってくる」と言います。何が起ころうと、彼らはその流れに身を任せるのです。自分たちに何が起ころうと、騒がず受け止めるのです。(公式サイトより)

こういったキャリー監督の発言を読むと、父親の運命、カスペルの運命の非情さを受け止めてなお前を向くサイラは、監督が描くべき移民の精神を象徴した存在だということがわかる。題材はヘビーだが描写は清々しく、劣悪な環境の中でも人と人との精神的なつながりを求め信じる、人間の強さを描いた稀有な青春映画だ。

<Raiting>
みずみずしい風景、欲望、暴力、静寂、愛、喪失、希望…映画に必要なすべての要素が詰まったメキシコ映画(アメリカ合作)の傑作だ。




あー
テーマ:DVDマニア
闇の列車、光の旅@ぴあ映画生活

評価:
アルフォンソ・クアロン
ナド・エンタテイメント
¥ 3,679
(2003-03-28)

評価:
Various Artists
Lakeshore Records
¥ 1,225
(2009-03-24)


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