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このブログでは、劇場公開時に観た映画、DVD、オンデマンド動画などの映像作品を中心に、音楽の新譜/旧譜、スポーツなどエンターテインメント全般について、複数ライターが極私的な見解を書いています。
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冷たい熱帯魚

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4時間に及ぶ超大作「愛のむきだし」でその研ぎ澄まされた演出技法が世界的にも認められた園子温監督の新作。

実際にあった「埼玉愛犬家連続殺人事件」をベースとした本作は、スプラッター表現が炸裂する凄惨極まりない作品となっている。観る人を極端に選ぶ作風ながらテアトル新宿は立ち見もでる盛況ぶりで、平日の夕方でも満席。園子温監督作品だけに、単なるエログロ作品ではないという期待感に満ちていた。

しかし壮絶な作品である。日本映画の良い部分を凝縮したような稀有な一本だ。じっとりとからみつくような人間関係、役者に最良のパフォーマンスを求める執拗な人物描写、婉曲な表現を排した徹底してストレートな感情表現…。日本映画だけが持つあまりに独特な空気感を、園子温監督は見事に演出しきっている。暴力描写であっても温度の低い冷めた陰湿さも日本映画ならではの特色だ。

出演者はすべてにおいて過剰だ。でんでんはエグすぎるし黒沢あすかと神楽坂恵はエロすぎるし吹越満は抑圧されすぎ。ストーリーも実話がグロいんだから仕方ないがとことんグロい。しかし全編を観終わって感じるのは、抑圧された感情の爆発による爽快感だ。殺人という極限の行為に伴う恐怖や悲しみより圧倒的な生のパワーが伝わってくる。

人間のエゴがエグいまでに強調されたある種の狂人をでんでんが演じているが、この素晴らしい演技は当然の結果ともいえる。彼自身は「気のいい八百屋のおじさんみたいな役ばかりなので、悪役をやってみたかった」とインタビューなどで何度も答えているが、でんでんの本質がそんな呑気な気のいいオヤジなんかじゃないことを、ほとんどの鑑賞者は分かっていると思う。狂気をはらんだ、もしくは狂気を上手く押さえ込んだうえでのいい人演技がでんでんの真骨頂だ。でんでんは普通にしてても怖い。何考えてるのかほんとに分からない。そういう意味でサイコパス的な村田役がこれほど似合う役者もいない。でんでん、最高!

【以降ネタバレ】
鑑賞後の爽快感に直接つながるのは、唯一生き残る娘の美津子(梶原ひかり)のラストシーンだ。目の前で首を切って自殺する社本(父親)を蹴りつけて罵倒する美津子の行動が最大のカタルシスを提供してくれる。結局登場人物全員が、圧倒的な抑圧に対し精神の平衡感覚が狂うギリギリのところで生きていたのだ。村田とその妻が一足先に狂気の世界に落ちていただけで、社本一家もまるで呼応するかのようにその深い狂気の淵に引きずり込まれていく。

村田という狂気の媒介者さえ存在すれば、問題を抱えるありふれた家庭にも同様のことが起こる(起こりそうだと想像できる)ということが本作の恐怖の核だが、実際に殺人を起こすかどうかは別にして、村田的な人間が実際にそこらじゅうにいるという事実が恐怖にリアリティーを与えている。

<Raiting>
お金を払って観るに値する日本映画。ぜひ劇場で!


<Trailer>


あー
テーマ:映画館で観た映画
冷たい熱帯魚@ぴあ映画生活

評価:
---
アミューズソフトエンタテインメント
¥ 4,185
(2009-07-24)


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